教派神道とは?

 明治維新を境に、日本古来の信仰(神道)は、押し寄せる異国の文化に対応するため、国家を挙げての管理下に置かれた時代がありました。神話時代から尊ばれた神社は、国の機関のひとつになり、布教活動には当たれなくなりました。
 当時、国学(日本固有の精神理念)が興り、神道を心のよりどころと考える人々が増えて行く中、明治政府は神社と別に、数多くの宗教活動を行う団体の中から神道を信奉する民衆宗教団体を教団として認めることによって、布教活動を許可し、国民の精神生活の柱となる部分を培おうとしました。この時に勅許(天皇からの直接の布教許可)を受けた、のちの「神道十三派」と言われる教団が「教派神道」と総称されるようになったのです。
 これらの教団は皆、幕末から明治維新にかけて成立したもので、日本人の心に深く根ざした神道的な信仰が、優れた人格者たちによって磨き上げられ、現在もなお人々に明るい光となって照らし広められている神道教団です。
 

教派連とは?

 教派神道連合会(略称:教派連)は、明治初頭に設立された教派神道の各教団同士の親睦と、激しく変動する時局への対応を意図に共通の渉外機関として、明治28年(1895)、「神道同志会」の名称で結成されました。
 その後「神道懇話会」、「神道各教派連合会」から昭和9年(1934)に現名称の「教派神道連合会」となる間、新加盟・退会を経て現在は出雲大社教・大本・御嶽教・黒住教・金光教・實行教・神習教・神道修成派・神道大教・神理教・扶桑教・禊教の、12教派によって構成されています。

教派連の活動

 教派連は、「各教派の親密なる提携により、神道教化の活発な 展開を図り、道義に基づく文化日本の建設に寄与し、世界平和の確立に貢献すること」を目的に活動しています。各教派の代表が理事となって毎月11日に会合し、教団同士は上下を作らず、議事の決定は全会一致・一教派でも反対意見が出たら採択 しない、という教派連独特の友好理念を守っています。
 これをもとにして人心の復興・開発につとめ、日本仏教会・日本キリスト教連合会・神 社本庁・新日本宗教団体連合会といった各宗教団体と協力して、日本宗教連盟の結成・活動等に寄与し、宗教協力による平和の実現に努力しています。

教派連結成100年

 時は流れて平成7年(1995)、教派神道連合会は結成100周年を迎え、盛大な記念式典および祝賀会、またシンポジウムを開催しました。
今日、世界の情勢は次々に変革を来し、地球的規模の問題が山積しています。今こそ私達は「万物は一体であり、 共生すべきもの」という教派神道の共通の基盤に戻って、先人の偉業に思いを致し、相互協力を惜しまず、世界の平和へ向けて努力していかなければなりません。